はじめに
個別銘柄の選択に関して、私が投資対象としている酉島製作所で実践例を紹介します。
有望そうな企業を選択する
酉島製作所に関して、私の見方は以下の通りです。
・プラント向けポンプで独自の強みを持っている
次に、数値上の裏付けを行います。
効率的に、かつ、少ない借金で稼いでいるか
マネックス証券の銘柄スカウターで指標を確認します。
ROE | 自己資本比率 |
---|---|
9.28% | 51.1% |
極めて高いというわけではないですが、それなりに高い水準だと思います。
次に、各年度の有価証券報告書より、分析対象の数値をExcelに入力し、業績の推移を確認します。
また、計算式により各指標を求めます。
なお、有価証券報告書は、金融庁のEDINETで参照できます。
売上高が増えているか
2019年度に落ち込みましたが、着実に増えています。
売上総利益率と営業利益率が安定または改善しているか
売上高に対する売上総利益の比率を計算して、売上総利益率を求めます。
売上高に対する営業利益の比率を計算して、営業利益率を求めます。
売上総利益率が一貫して上昇しています。
営業利益率に関して、2015年度に悪化しましたが、改善傾向が認められます。
売上総利益に対する研究開発費の比率が適切な水準か
有価証券報告書の「研究開発活動」より研究開発費を入力します。
売上総利益に対する研究開発費の比率を求めます。
低い水準だと思います。
なお、酉島製作所は、経済産業省の2020年版グローバルニッチトップ企業100選に選定されています。
売上総利益に対して低い水準の研究開発費で、競争力を維持できていると思います。
営業利益に対する支払利息の比率が低い水準か
営業利益に対する支払利息の比率を求めます。
営業利益率が悪化した2015年度は高い水準ですが、その後、10%以内に抑制されています。
また、2019年度以降、改善傾向が認められます。
キャッシュフローが良好か
営業CF(営業活動によるキャッシュフロー)、投資CF(投資活動によるキャッシュフロー)、財務CF(財務活動によるキャッシュフロー)を入力します。
営業CFから投資CFを差し引いて、フリーCF(フリーキャッシュフロー)を求めます。
営業CFに関して、落ち込む年度があるものの、プラスを維持しています。
フリーCFに関して、2021年度、投資を増やした影響で、マイナスになっていますが、2022年度にプラスになっていれば、問題ないと思います。
キャッシュフローに関して、概ね良好だと判断します。
株価が適正な水準か
マネックス証券の銘柄スカウターで指標を確認します。
予想PER | 株価 | 予想1株当り利益 |
---|---|---|
7.9倍 | 1,440.0円 | 181.7円 |
将来のリターン(キャピタルゲインのみ)をシミュレーションします。
まず、想定する10年平均成長率を設定します。
現在の10年平均成長率である9.3%を採用します。
当期利益 | |
---|---|
10年平均成長率 | 9.3% |
以下のような計算式で、株価シミュレーションを行います。
項目 | 計算式 |
---|---|
利益の想定倍数 | 現在を1として、前年の倍数+前年の倍数×10年平均成長率 |
想定する1株当り利益 | 現在の予想1株当り利益×利益の想定倍数 |
PER5倍での予想株価 | 想定する1株当り利益×5 |
現在のPERでの予想株価 | 想定する1株当り利益×7.9 |
10年後の予想株価 | 10年後の予想損益率 | |
---|---|---|
PER5倍 | 2,211円 | 54% |
現在のPER(7.9倍) | 3,504円 | 143% |
10年後、想定する成長が実現するならば、以下のような評価になると思います。
・PER5倍ならば、10年後のリターンとして物足りない
・現在のPER(7.9倍)ならば、それなりのリターンが得られる
※あくまでも、想定に基づくシミュレーションであり、必ずしも将来を保証するものではありません。
数値を分析した結果
分析結果をまとめると、以下の通りです。
・効率的、かつ、少ない借金で稼いでいる
・売上高が着実に増えている
・売上総利益率が一貫して上昇している
・営業利益率が改善傾向にある
・売上総利益に対する研究開発費が低い水準である
(低い水準で競争力を維持できていると思われる)
・営業利益に対する支払利息が改善傾向にある
・キャッシュフローが概ね良好だと思われる
上記の理由により、酉島製作所を投資先として有望だと判断します。
※あくまでも私の判断であり、必ずしも正しいとは限りません。
財務諸表の分析で活用している書籍
財務諸表を読むにあたり、下記の投稿にて、私が活用している書籍を紹介していますので、よろしければ参照して下さい。
当銘柄を見つけるのに活用した書籍
酉島製作所は、下記の投稿にて紹介している書籍で見つけました。
よろしければ参照して下さい。
個別銘柄リスクへの対応
個別銘柄リスクへの対応として、以下の手法を採用しています。
・ポートフォリオの10%以内に抑制
・単元未満株取引で少額投資
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