株式以外への投資 債券の投資手法-直接購入/ETF・公募投信

投資方針・運用状況

はじめに

債券投資に関して、中途で売買する価格と金利の関係を説明した上で、証券会社から直接購入する手法、ETFまたは公募投信で投資する手法のメリット・デメリットを考察します。

中途で売買する価格-金利が上昇した場合

過去に発行された利付債券があり、発行時に固定利率4%が設定されたとします。
その後、金利が上昇し、同じ発行体から新規発行された利付債券に関して、固定利率5%が設定されたとします。

同じ発行体の債券過去に発行された債券新規発行された債券
利率4%5%
現在の残存期間10年10年
額面金額100ドル100ドル

新規発行された利付債券を額面金額の100ドルで購入し、償還日までホールドした場合、利回りは、以下のようになります。

年間の受取利息償還差益÷期間購入金額利回り
5ドルゼロ100ドル5%
利率5%の新発債を額面金額で購入した場合の利回り

過去に発行された利率4%の債券に関して、発行体と残存期間が同じならば、新規発行された債券と同等の利回りが要求されると考えます。
同等の利回りを実現するための購入金額は、約93.33ドルになります。

年間の受取利息償還差益÷期間購入金額利回り
4ドル0.667約93.33ドル約5%
利率4%の既発債で、利回り5%の実現するための購入金額

金利が上昇すると、中途で売買する価格が下落します。

なお、債券の利率と利回りに関して、SBI証券の下記サイトで説明が記載されています。

債券|SBI証券
債券ならSBI証券。円貨建債券は初心者にも人気の個人向け国債や普通社債等を取り揃えています。外貨建債券も米ドル・豪ドルなどの先進国通貨建から、ブラジルレアル・南アフリカランドなどの新興国通貨まで充実のラインナップ!

中途で売買する価格-金利が低下した場合

逆に、金利が低下し、新規発行された債券に利率3%が設定されたとします。
過去に発行された利率4%の債券に関して、同等の利回りを実現するための購入金額は、約107.69ドルになります。

年間の受取利息償還差益÷期間購入金額利回り
4ドル-0.769約107.69ドル約3%
利率4%の既発債で、利回り3%を実現するための購入金額

金利が低下すると、中途で売買する価格が上昇します。

ETF・公募投信でホールドする場合の売買損益

ETFまたは公募投信でホールドする場合、ファンド内で売買損益が発生します。
例えば、「iシェアーズ・コア 米国債7−10年 ETF」に関して、有価証券報告書(内国投資信託受益証券)の損益計算書によると、営業収益は以下の通りです。(2023/01/12~2023/07/11)

有価証券売買等損益がマイナスになっています。

個人向け日本国債を中途換金する場合

個人向け日本国債に関して、財務省のサイトによると、発行後1年以上経過で換金可能であり、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる、とのことです。

個人向け国債 : 財務省
こちらは、財務省の個人向け国債のWEBサイトです。個人の方が買いやすい安全で手軽な個人向け国債には、変動10年、固定5年・3年の3つの種類があり、それぞれの特徴をわかりやすく説明しています。また、現在募集中の個人向け国債の情報も掲載していま...

個人向け日本国債は、中途換金する場合でも、ほぼ元本確保型だと思います。

税金

証券会社から直接購入する場合、NISAが利用できないです。
課税口座で取引することになり、受取利息、売却益、償還差益に課税されます。

一方、ETFまたは公募投信の場合、NISAでの取引が可能です。
NISAで取引する場合、分配金と売却益が非課税となります。

ETF・公募投信の運用コスト

ETFまたは公募投信でホールドする場合、ファンド内で、交付目論見書に記載されている「投資者が間接的に負担する費用」が発生します。

償還日までホールド/定期的に株式とリバランス

利付債券やゼロクーポン債に関して、証券会社から直接購入し、償還日までホールドする場合、対象の通貨建てベースで、約束されたリターンを得ることができます。
一方、ETFまたは公募投信でホールドする場合、ファンド内の運用成績が、個人投資家による直接購入・ホールドよりも、上回る可能性があります。

株式と債券で、一定の保有比率となるようにリバランスする場合、NISAでETFまたは公募投信を取引する方が有利だと思います。
直接購入した債券を売買する場合、売買判断の難しさに加えて、都度、売却益に対する課税が発生し、運用成績が低下すると思います。

ただし、一定の保有比率となるようにリバランスする運用は、株式と債券の逆相関が成立する環境でこそ有効です。
インフレが進行した結果、金融当局が引き締めをして、株価も、債券の売買価格も下落する状況では、リバランスによる運用成績の向上が期待できないと思います。
また、金融緩和で、株価も、債券の売買価格も上昇する状況でも同様です。

もしも、株式と債券の逆相関が復活するのならば、定期的にリバランスする運用も有効かもしれません。

まとめ

債券投資に関して、直接購入する手法と、ETFまたは公募投信で投資する手法で、それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが有利か断定できないと思います。

私は、利益成長によるリターン増大が期待できる株式を投資のメインにしています。
債券に関して、資産の安定性を高める目的で、約束されたリターンが得られることを重視し、直接購入する手法を採用しています。

債券投資に関して、下記の投稿でも考察しているので、よろしければ参照して下さい。

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