銘柄選択で重視する指標 ROEと自己資本比率

投資方針・運用状況

はじめに

私が銘柄選択で重視する指標のうち、ROEと自己資本比率に関して説明します。
借金の多さ(支払利息の多さ)が金利上昇で利益に及ぼす影響をシミュレーションします。
さらに、自己資本とROEに基づく成長シミュレーションを行います。
また、配当金総額をシミュレーションします。

効率的に、かつ、少ない借金で稼いでいるか

私は、効率的に、かつ、少ない借金で稼いでいるか、という観点から、ROE(自己資本利益率)と自己資本比率を重視しています。

金利上昇が借金の多さ(支払利息の多さ)に及ぼす影響

少ない借金で稼いでいることのメリットの1つに、金利上昇でも利益が圧迫されにくいことがあると思います。
借金の多さ(支払利息の多さ)が金利上昇で利益に及ぼす影響をシミュレーションします。

自己資本が100万円のA社、B社、C社があるとします。
総資本の内訳は以下の通りです。

借金の状況は以下の通りです。

会社借金現在の金利現在の支払利息
A社25万円2.00%5千円
B社とC社200万円2.00%4万円

A社は、支払利息の5千円を含め、全費用を差し引いて、純利益が10万円とします。
B社は、A社ほど効率的に稼ぐことができず、支払利息の4万円を含め、全費用を差し引いて、純利益が10万円とします。
C社は、B社よりも効率的に稼ぐことができて、支払利息の4万円を含め、全費用を差し引いて、純利益が20万円とします。
ROEは、以下の通りとなります。

会社ROE
A社10%
B社10%
C社20%

金利上昇に伴うシミュレーション結果は以下の通りです。

会社金利が2.50%上昇した場合の純利益金利が2.50%上昇した場合の減益率金利が2.50%上昇した場合のROE
A社 93,750円-6% 9.4%
B社 50,000円-50% 5.0%
C社150,000円-25%15.0%

金利上昇前のROE10%、自己資本比率80%のA社は、減益率から見ると、ダメージが最も小さいです。
金利上昇前のROE10%、自己資本比率33.3%のB社は、ダメージが最も大きいです。
金利上昇前のROE20%、自己資本比率33.3%のC社は、減益率はA社よりも大きいものの、利益の絶対額はA社よりも大きい金額を確保できています。

金利上昇に伴い、各社のROEも低下しています。
A社が最も低下幅が小さいです。

なお、優良企業は、一般の金利相場よりも、低金利で借金できると思いますので、自己資本比率とともに、営業利益に対する支払利息の比率をチェックすることも重要ではないかと思います。

自己資本とROEによる成長シミュレーション

A、B、C社に関して、以下の想定で、自己資本とROEに基づく成長シミュレーションを行います。

想定する数値
ROE金利上昇後の各社ROE
配当性向30%

ROEから算出した利益に対して、配当性向から算出した配当金総額を差し引いた金額が自己資本として蓄積されていくシミュレーションです。

配当金総額のシミュレーション結果は、以下の通りです。

10年後、自己資本、純利益、配当金総額の累計は、以下のようになる計算です。

会社自己資本純利益配当金総額の累計
A社1,891,286円177,781円435,314円
B社1,410,599円 70,530円197,130円
C社2,714,081円407,112円856,740円

まとめ

同じ金利環境下で、ROEが同程度の場合、自己資本比率が高い会社の方が、金利上昇に伴うパフォーマンス低下を抑制できると思います。
一方、自己資本比率はそれほど高くなくとも、利益を稼ぐ効率が高い場合、金利上昇の局面でも、高いパフォーマンスを維持できると思います。

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