はじめに
私の保有銘柄である信越化学工業に関して、株価が適正な水準か、検討します。
なお、将来のリターンに対して、現在の株価が適正な水準か、正確に評価することは難しいと考えています。
将来、どれだけの利益成長が実現できるか、正確に予測することは困難だからです。
ただ、ある想定でシミュレーションを行い、一定の予測を立てて、バリュエーション判断の参考にすることは、それなりに意味があると思います。
現在の株価指標
現在の株価指標は、以下の通りです。
株価 | 1株当たり当期純利益(会社予想) | 予想PER | 1株当たり純資産(実績) | 実績PBR |
---|---|---|---|---|
5,903円 | 257.6円 | 22.9倍 | 2133.98円 | 2.77倍 |
1株当たり当期純利益(会社予想)と1株当たり純資産(実績)は、2024年3月期第3四半期の決算短信を参照
過去の利益年平均成長率
親会社株主に帰属する当期純利益の推移は、以下の通りです。
年平均成長率に換算すると、20.9%です。
過去の利益年平均成長率に照らすと、約20倍のPERを正当化できるようにも思えます。
売上高の増加率と営業利益率
売上高の推移は、以下の通りです。
前年比増加率に換算すると、以下の通りです。
各年度でブレが大きく、今後の増加率を想定するのは難しいと思います。
直近(2024年3月期第3四半期)の営業利益率は、以下の通りです。
売上高 | 営業利益 | 営業利益率 |
---|---|---|
1,823,403百万円 | 559,528百万円 | 31% |
営業利益率が高い水準であり、今後、売上高が増加すれば、利益成長の増大が期待できると思います。
自己資本とROEに基づく成長シミュレーション
直近の通期実績(2023年3月期)での自己資本とROEは、以下の通りです。
自己資本 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | ROE |
---|---|---|
3,874,210百万円 | 708,238百万円 | 18.3% |
下記サイトの株主還元での記載によると、35%前後の配当性向を目安にするとのことです。
以下の想定で、自己資本とROEに基づく成長シミュレーションを行います。
想定する値 | |
---|---|
ROE | 18.3% |
配当性向 | 35% |
ROEから算出した利益に対して、配当性向から算出した配当金総額を差し引いた金額が自己資本として蓄積されていくシミュレーションです。
10年後、自己資本は、現在の3.08倍になる計算です。
PBR2.77倍に対して、正当化できる値だと思います。
配当金総額のシミュレーション結果は、以下の通りです。
10年後、現在の自己資本に対して、累計で1.32倍の配当金総額が生じる計算です。
※あくまでも、想定に基づくシミュレーション結果であり、必ずしも、将来を保証するものではありません。
まとめ
現在の株価に関して、過去の利益年平均成長率、直近の営業利益率、自己資本とROEに基づく成長シミュレーションに照らして、それなりの正当化ができると思います。
ただし、必ずしも、将来を保証するものではないです。
私は、信越化学工業に関して、他のセクターとの分散を維持しながら、ポートフォリオの一部に組み入れる方針を継続しようと思います。
信越化学工業に関して、下記の投稿にて、銘柄選択の実践例を紹介していますので、よろしければ参照して下さい。
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