はじめに
個別銘柄の選択に関して、私が投資対象としているキッコーマンで実践例を紹介します。
有望そうな企業を選択する
キッコーマンに関して、私の見方は以下の通りです。
・しょうゆという確立されたブランドにより、長期的に高い競争優位性が期待できる
次に、数値上の裏付けを行います。
効率的に、かつ、少ない借金で稼いでいるか
マネックス証券の銘柄スカウターで指標を確認します。
ROE | 11.68% |
自己資本比率 | 71.1% |
ROE、自己資本比率とも高い水準であると思います。
次に、各年度の有価証券報告書より、分析対象の数値をExcelに入力し、業績の推移を確認します。
また、計算式により各指標を求めます。
なお、有価証券報告書は、金融庁のEDINETで参照できます。
売上高が増えているか
2020年度に減少しましたが、着実に増えています。
海外向けが増えており、グローバルな成長が期待できると思います。
売上総利益率と営業利益率が安定または改善しているか
売上高に対する売上総利益の比率を計算して、売上総利益率を求めます。
売上高に対する営業利益の比率を計算して、営業利益率を求めます。
売上総利益率が低下しているものの、35%以上の高い水準を維持しています。
営業利益率が一貫して安定しています。
売上総利益に対する研究開発費の比率が適切な水準か
有価証券報告書の「研究開発活動」より研究開発費を入力します。
売上総利益に対する研究開発費の比率を求めます。
低い水準にあります。
しょうゆという確立されたブランドにより、新技術や新商品の研究開発への多額の費用を負担しなくても、高い競争力を維持できると思います。
営業利益に対する支払利息の比率が低い水準か
営業利益に対する支払利息の比率を求めます。
極めて低い水準にあります。
キャッシュフローが良好か
営業CF(営業活動によるキャッシュフロー)、投資CF(投資活動によるキャッシュフロー)、財務CF(財務活動によるキャッシュフロー)を入力します。
営業CFから投資CFを差し引いて、フリーCF(フリーキャッシュフロー)を求めます。
営業CFより、本業でしっかりと稼いでいると認められます。
また、フリーCFも良好だと思います。
株価が適正な水準か
マネックス証券の銘柄スカウターで指標を確認します。
予想PER | 株価 | 予想1株当り利益 |
---|---|---|
35.2倍 | 7,480.0円 | 212.5円 |
PERが高い水準であり、将来のリターンに対して割高となるかもしれません。
将来のリターン(キャピタルゲインのみ)をシミュレーションします。
まず、想定する10年平均成長率を設定します。
現在の10年平均成長率である15.8%を採用します。
当期利益 | |
---|---|
10年平均成長率 | 15.8% |
以下のような計算式で、株価シミュレーションを行います。
項目 | 計算式 |
---|---|
利益の想定倍数 | 現在を1として、前年の倍数+前年の倍数×10年平均成長率 |
想定する1株当り利益 | 現在の予想1株当り利益×利益の想定倍数 |
PER10倍での予想株価 | 想定する1株当り利益×10 |
PER20倍での予想株価 | 想定する1株当り利益×20 |
PER30倍での予想株価 | 想定する1株当り利益×30 |
10年後の予想株価 | 10年後の予想損益率 | |
---|---|---|
PER10倍 | 9,214円 | 23% |
PER20倍 | 18,428円 | 146% |
PER30倍 | 27,642円 | 270% |
10年後、想定する成長が実現するならば、以下のような評価になると思います。
・PER10倍ならば、10年後のリターンとして物足りない
・PER30倍はもちろん、PER20倍でも、それなりのリターンが得られる
※あくまでも、想定に基づくシミュレーションであり、必ずしも将来を保証するものではありません。
数値を分析した結果
分析結果をまとめると、以下の通りです。
・効率的、かつ、少ない借金で稼いでいる
・海外向け売上高が増えており、グローバルな成長が期待できる
・売上総利益率が高い水準を維持している
・営業利益率が一貫して安定している
・売上総利益に対する研究開発費が低い水準にある
(しょうゆという確立されたブランドにより、低コストで高い競争力の維持が期待できる)
・営業利益に対する支払利息が極めて低い水準にある
・キャッシュフローが良好だと思われる
上記の理由により、キッコーマンは、長期的に高い競争優位性が期待できると判断します。
株価に関して、PERが高い水準ですが、長期的な競争優位性と照らして、ある程度の正当化ができると思います。
※あくまでも私の判断であり、必ずしも正しいとは限りません。
財務諸表の分析で活用している書籍
財務諸表を読むにあたり、下記の投稿にて、私が活用している書籍を紹介していますので、よろしければ参照して下さい。
個別銘柄リスクへの対応
個別銘柄リスクへの対応として、以下の手法を採用しています。
・ポートフォリオの10%以内に抑制
・単元未満株取引で少額投資
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